「では、気を取り直していきましょう」
木坂は何事もなかったかのように司会を務めている。
一方松沢とジミロウはというとハァハァと息荒く疲れきっている。
「よっしゃ!んじゃ次は俺な」
元気よく手を上げたのは太一。
というより放課後会は4人しかいない。ダウン中の2人と司会、必然的に残った太一が何か案を出すしかなかった。
「これはみんな一度はやったことあると思うけど…」
どこか自信有りの溜めと態度だ。
「…ギリギリいす!やった事あるだろ!?」
……………………
………………
「あれ?ギリギリいすだよ!いす斜めにして座って倒れるか倒れないかっていう度胸試し!」
…………………
「あぁーそういうことか」
松沢の意味深な発言
「松沢は分かるよな!小学校のときはあれでチキンかどうか決めてたよな!」
勝手に盛り上がり出す太一
「それでお前後頭部に傷があるんだな…」
「……え…?」
松沢の発言に太一の目が泳いだ。
「…ち、ちげぇよ!だからこれは隣町の不良とやりあったときについた傷で…」
このセリフで分かるように、太一は普段から後頭部の傷を武勇伝を交えて見せびらかしている。
そして太一は『ほら吹きバカ野郎』で通っている頭の弱い嘘つき君である。
「あぁーあ、不良からも一目置かれる存在だったのによ…がっかりだよ太一…」
「…いや、だ、だからこれは…」
「太一君、カミングアウトしましょう」
木坂は涼しげな表情でくいっとメガネを上げた。
「いやいや趣旨違くね!?」
あぁ、痛い。みんなの視線が痛い…。木坂も松沢も、そしてジミロウからもチクチクと刺さる視線が…
「…嘘ついてごめんなさい…」
本日の放課後会の活動は、太一のカミングアウトで終了した。