本州の最南端・下関に着いたころ、ボクは考えていた。
今のまま、自由気ままに好きなように生きる独りぼっちの人生を選ぶか。
社会のしがらみやストレスに耐えながら、カノジョや大好きなたくさんの人達と一緒に生きる人生を選ぶか。
ボクは、迷わず後者を選んだ。
夢のために生きてきた今までの人生も、全てムダにならないと思えた。
準備し、実行したコトで、今この考えに辿り着くことができたから。
それに…カノジョに出逢うことができたから。
出逢わなければ、前者を選んでいたかもしれない。だけどカノジョに出逢い、カノジョを好きになったことで、ボクは『帰る』という人生を選択できた。
連絡手段を破棄していたボクは、公衆電話から大学へ電話し、サークル部屋の番号を聞き、部屋にいた後輩にカノジョの番号を聞いた。
すぐカノジョにかける。
「…もしもし?」
カノジョの声。
ずっと聞きたかった、
カノジョの声。
「…もしもし、オレやけど…。」
こんな自分勝手なコト、受け入れてはもらえないだろう。でも…
「…今から、帰るから。」
伝えたい、ボクの新しい夢。 つづく