死体放棄少女・四

黄粉  2008-06-16投稿
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優子は、手帳の中の橋本麻里奈を見つめながら、携帯を取り出した。

「何するの?」

男は聞く。

「警察に連絡するんです。」

優子はなんの戸惑いもなく、警察の番号を打つ。

「ふーん。」

男はそう言うと、再びオレンジジュースを飲みはじめた。

優子は外に出て、携帯を耳にあてた。

「・・・・」

今聞こえるのは、呼び出し音と、自分の息を吐く音のはずだった。

「・・・ゅぅ・・・」

確かに聞こえた。誰かの声だった。

「え?」

ザッザザザッ

携帯のノイズの音が激しくなり、

「ゆ、うこ・・・」

・・・!!!

思わず携帯を閉めた。

今、誰かの声が、した・・・



恐る恐るまた、携帯に耳をつける。

すると、張りのある、警官の声がした。

どうやら今のは幻聴だったようだ。

まだバクバクする心臓を落ち着かせ、優子はアパートでの事を話した。








「あ、優子ちゃん。遅かったね。」

何故か男は、他のジュースを飲んでいた。

また新しく注文したのだろう。

優子はよろよろとした歩きで、「帰りますね」とだけ言って、席を立とうとした。

「あ、そうだ。あと優子ちゃんって呼ぶの恥ずかしいからやめてくださいね。」

と優子は言って店を出た。

「バイバイ。」

男は、優子に向かって手を振った。

だが、優子は振り返すことはなかった。

「・・・?」

何かが、男の手に触れた。見ると、さっき優子が開いていた手帳だった。

「あ、麻里奈だ。」

手帳を開くと、麻里奈と優子の写ったプリクラが貼ってあった。

手帳の中の二人は、幸せそうに笑っていた。

麻里奈の事を思い出し、男は悲しくなった。

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