最初は小学校から続けていた体操部に入ろうと思い、入部希望届を提出していました。
部活動が始まる前日、同じクラスで中学校に入学してから友達になったA君(この少年は、後に大学バレーボールの逸材として注目される選手に成長しますが、身長があと10センチ高ければオリンピックに出場していたはずです。)と体育館に見学に行きました。
私は器械体操部、A君はバスケットボール部に入部希望届を提出していました。体育館に入ると、入口付近で紺色のジャージ姿の、いかにも保健体育担当と判る男性教師に呼び止められました。
「君たち、1年2組のA君と楽園君だね。背が高いね。バレーボール部に入りなさい。一緒に東京へ連れて行ってあげる。」
と、いきなりバレーボール部へ誘われました。入学当時、私は170センチ、A君は175センチあり、長身の2人が連れ立って歩いていたから目立ったのだと思います。それより、この男性教師は全ての入部希望届を持っていて、その場で私とA君のそれをバレーボール部に変更してしまった事には驚きました。それと、私たちのクラスと名前を知っていた事にも驚きました。実は、簡単な事で、襟に付けているクラス章と、胸の名札を見て言っただけで、私たち2人を知っていた訳ではありませんでした。そうとは知らず、私たちを知っていてくれた感激と、東京という言葉に惹かれて、その場で入部を承諾してしまいました。
私は、たいした選手に成らなかったのですが、先述のように、A君は日本国内の大学で注目される選手に成長した訳ですから、この時が、人生を変える運命の出会いであったに違いありません。あの時、私が練習の見学に誘わなければ、私は器械体操部部に、A君はバスケットボール部に入部していましたから、その後のA君のバレーボールでの活躍は無かったはずです。
私は本来、個人競技が好きで、野球やバレーボールのような、団体競技、特に球技は苦手でした。この頃の私は、スポーツにおいては、誰にも負けない自信を持っていましたが、苦手な団体競技の球技に挑戦してみようと思いました。この事も、入部を承諾したきっかけでもありました。
部活動が始まり、驚いた事に、部員数が50名を超えていました。テレビの漫画の影響で女子が多いのは理解できますが、何故、男子の部員がこのように多いのか理解できませんでした。
つづく