[がたっ…ゴロ]
「いてててて…」
物音に反応して顔を向けたそこには先程私が吹き飛ばしてしまった少年が胸をさすりながら壁に開いた穴から入って来た。
「ガウやっと来たかい」
ガウと呼ばれた少年は老婆に一目向けた後即座に私を睨みつけ歩みよってきた。「あ、あのー…」
彼の目つきに気圧され口ごもってしまう。怒鳴られると思い身構えていた。でも意外な反応が…
「いやぁたいしたことなくて良かったなぁ」
私の肩を[ぽん]と叩き彼は笑顔で私を気遣ってくれた。少年の目には私に対する怒りの色がまったくみえず私は思考が止まりボー然と彼の顔を覗いていた。
「ふはははは」
突然の老婆の笑い声に少年の態度にあっけにとられていた私は我に返り老婆に目を向けた。
「いらない心配はせんでええよ。その子、ナリは怖いが滅多な事じゃ怒りゃしないからね」
「ナリ…怖いとか言うなよ玉婆」
ガウは少しすねた感じで抗議する。そのやり取りを見て笑みをこぼしてしまう。ガウの身長は私より頭二つ分も高い。目は鋭く髪は逆立っている。見た目は笑うようには見えない。そんな彼がすねたそぶりをみせる「…ぷっ〜あははははは」思わず噴き出してしまった