ガンバレ、俺

ANNA  2008-06-17投稿
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斎藤先輩のお葬式の時、斎藤先輩のお父さんが俺達の所に近寄って来て、声をかけて下さった。

「優太と仲良くして下さってありがとうございます。家に帰って来て、いろんなことを母親に話していたようですが、皆さんにもよくして頂いて、就職した後もお付き合い下さったと聞いています。
今日もわざわざお越し下さってありがとうございました。」

俺は何も言えなかった。
何か気の効いた言葉を言えたらよかったんだけど、何も思いつかなくて、頭を下げるのがやっとだった。

その後、いつもなら『飲みに行く?』ってなるトコだけど、みんなも何も言葉を発することができずに解散となった。

外は雨が降っていた。
雨の中を重い足取りで歩いた。
葬儀場にいる時からずっと、どうして生きてるのか考えた。
斎藤先輩は棺の中で眠っているようにしか見えなかった。この間会った時は「じゃ、また」って言って別れた。

なのに「また」がない...
こんなにも突然死ぬってどういうこと?
死んでしまった先輩は、みんなが悲しんでることを知らないのか。
雨が冷たいことも、寒いということも感じないのか。
死ぬってどういうことなんだ?

家に帰ると、今日は親父がいつもよりも早く帰って来ていた。
家の奥から「もうすぐごはんよ。」と言うお袋の声が聞こえて来た。

着替えを終わらせ、食卓に着いた。今日は煮魚だ。骨をとりながら親父が「今日、お葬式だったんだって?」
と聞いてきた。
「うん、斎藤先輩のお父さんが話しかけてくれたんだけど、泣いてもいないしさー、その上『今日はありがとう』って言われて、俺なんて言っていいか分からなかった。
自分の子供が突然死んだのに、どうして落ち着いていられるのかすごく不思議だった。」

そうなんだよ、俺の方が動揺しすぎてた。
斎藤先輩のお父さんに言えない複雑な思いを親父に聞いてみた。

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