『所でエリカちゃん。まさか、僕にわざわざお礼を言う為に電話をくれたの?!』
ちょっと失礼な質問かとは思ったが、彼女が電話をかけてきてくれたコトに対し僕は凄く嬉しくて、
思わず舞い上がってしまいそうな気持ちを必死に抑えていたから、
僕にとって、ここは一番大切な重要ポイントなのだ。
《そうだよ。あと、もう一つ――》
彼女はそう言って、その後に言葉を続けた。
《未來にお願いがあるんだ。》
彼女が僕にお願い?!一体何だろう。
『何?!僕に出来る事なら協力するよ?!』
取り敢えずは、そう返事をするしかなかった。
《あたし、昨日のオーディション風景をビデオで撮影しながらずっと思っていたの。
未來の“ひとりあやとり”が一番良かったんじゃないかって。》
彼女は、電話の向こうで一体どんな顔をしながらそう言ったのだろうか――
『エリカちゃん、僕をからかってるの?!』
《からかってなんていないわよ。どうして?!何でからかってると思うの?!》
『だって僕、あのオーディションを途中で棄権したんだよ?!』
そう―\r
君に“しょんべん小僧!!”と呼ばれて動揺し、
更に、ソレがキッカケとなり極度の緊張感が僕を襲い――
《途中で棄権した理由は、あたしには分からないけど。
昨日、居酒屋で聞いても教えてくれなかったじゃん?!》
そんなに知りたいのかよ。僕がオーディションを棄権した理由――