『あっつ〜』
里美はテニスラケットをコートの壁に起き、お気に入りの鞄からポカリを出して一気に飲んだ。
蝉がうるさい8月、地区大会に向けて、最終調整を行なっている。
『ねぇねぇ、今日の帰りマック行かない?』えくぼが可愛いく、よく一緒に帰る朋美が言った。
『う〜ん、今月ピンチだし』
『大丈夫!大丈夫!今日バイト代出たから貸してあげるよ。』
『おごりじゃないのね…』朋美のあっけらかんな笑顔に負けて里美は苦笑いしながらラケットをナイキのケースに詰めた。
時計をふとみると19時3分、ちょうど帰宅ラッシュで帰り道は人だかりで賑わう。目的のマックは担任の悪口、テストの話などしていたらすぐ着いた。
『ねぇねぇ、昨日ニュースでやってた無差別殺人事件見た?』と長いポテトを探しながら朋美が言う。
『あー、なんかいきなり路上で5人殺したやつでしょ?最近怖いね。』と飲み物を飲みきり氷をかじる里美は言った。
『それがね、実はその犯人ちょっと精神的にやばかったみたいだよ!』
『へ〜どういうふうに?』
『う〜ん、とにかく危なかったんだって!』
『へー。』朋美のいつも肝心な所が抜けているには慣れっこである。帰ろうと思い鞄を持とうとしたら、
『でもね!なんか犯人は殺されるってずっと何かに怯えてたんだって!しかもそれがメールでよく回ってるチェーンメールが来ただけで!』
『えー怖いね。』
犯人がよっぽとびびりなのか、頭が弱いのかどうか、色んな疑問が出てきたが早く部活でかいた汗を流したく家に帰った。
―翌日。
今日も例年の最高温度を塗り替える程の暑さで授業なんかには集中出来なかった。
『はやく終わらないかな。』教室の前では一人の人間が意味の分からない数字を書き一人で喋ってる。こうして何もかに無関心でいると周りの物が自分とは別空間のもののように見える。
右前の席の朋美が大きなポニーテールを振りこちらに向かって何か合図をしてきた。
なんだ?と同時にメールが私の携帯がぶるぶる震えた。
メールを開けると、案の定ともみから。
『昨日話したチェーンメール見つけたぞー!』と可愛い顔文字付きで来た。
はぁ…まぁいいか。時間潰せるし。
『ちょうだい』と無機質なメールを返した。と同時に朋美からメールが来た。