涙が頬から落ちる。
蝋燭の灯火の中、
目が覚めた。
夢の感覚がまだボンヤリと広がる。
?「夢…。」
天井を見つめ、まるで確かめる様に呟く。
あれは夢だと。
ゆっくり体を起こす。
母と同じ美しいブロンドが背中を流れる。
どうして自分は泣いていたのか。
よく分からなかった。
窓の外を見る。
そこにはあの『青』はなく、ただ灰色の空が広がっていた。
雲の覆う『灰』の世界。
世界は余りにも多くの血が流されてきた。
400年前
世界はまだ多くの国があった。
だが、それだけで人は争い共存はできず、血を流し続けた。
始まりの理由さえ知らず、争い続けた。
憎しみはより多くの憎しみを…
悲しみは、より多くの悲しみを、
血はより多くの血を
終わらない戦い。
そのあとには決して自由も、安らぎもない。
何も残らない。
代償はとても大きく、
私たちは『青』を失った。
代わりにそこにあったのは、何処までも続く『灰色』だった。
そして…化け物が大地を踏んだ。
その日争いは終わった。 人と人の争いは終わった。
代わりに化け物と人の争いが始まる。
今もなお…。