多分、真面目に生きてきた。家庭は貧乏だったし、親の愛情も薄かった。
見た目はそんなに悪くないが、自慢出来る事は成績がよかった事。おかげで医者になることが出来た事だろう。
何故だかいじめられっこだった。
人の顔色をみながら明るく振る舞った。
社会に出て、仕事が出来ると評価されて、とにかく頑張った。
人に好かれるよう、仕事よりこなせるよう。
ずっとお金がなくて、稼げるようになったら、自慢を美しく見せたくなった。
誰かに愛されたいという思いと、かっこいいと言われたかったから。
自分の感情を殺し、人に合わせ、がむしゃらに仕事していたら、ある日自分が壊れている事に気がついた。
初めは不眠症から始まった。
次に買い物しまくった。
気がついたら部屋がゴミ箱になっていた。どこに何があるか解らない。
片づけようとしても手がつけられなくなっていた。
でも、眠れれば良かった。綺麗な部屋にしたいとも思えなくなっていたのだ。
それでも仕事に行く。仮面を被って。彼女は仕事が出来る、優しく気がきく女性だといわれる。
ある日突然、管理会社が火災点検で部屋に入った。退去してくれと言われた。
従うしか無い。
ゴミを自力で処理する事は不可能だった。処理業者に依頼した。何を残していいのか分からず、洋服と布団以外全て撤去してもらった。
プロは早い。あっという間に部屋は空になった。
私は自力で稼いだ財産を自分のお金を払って捨てたのだ。
何の為に?生きてきた?
空っぽの部屋の中で、自分も空っぽになっている事に気がついた。
声を上げて泣いた。ひたすら泣いた。
そしたら、自分が自分でなくなっていた事に気がついた。
ナチュラルに生きたい。
肩の力を抜いて。
しばらくは何にも無い生活をしながら、自分に優しい部屋を作りたい。
仕事はそこそこに、いい人ぶらずに。
しかし、本当に汚い部屋だった。
なんで、そんなに汚れて行ったのか、また次回のお話しです。