それから起った出来事を、客観的に羅列していこう。
まず、時間が止まる。
ハッとした学年主任が苦笑い。学長を起こすように促す。
いきなり起こされた学長は居眠りがバレてこれまた苦笑い。
取り繕うように学長主任が「え〜、学長は連日の業務で大変疲れており…」といいわけ。
講堂内のざわめきは最高潮に。
そんななか、アイツは
「俺たちはこんな入学式は納得いかない!!もう一度やり直してくれ!」とマイクで絶叫。
…ちょっと待て。俺たち?
今俺たちって言ったか?
それはまさか俺のことか?
あぁ、たしかに言ったさ。
「学長祝う気あんのかねぇ」って。
でもそれで入学式やり直したいとは思ってないし、第一俺は心の中で呟いただけだ!ちょっと声に出たけど。
お前なに巻き込んでんだよ!
俺は平和に静かに学生生活を送りたいんだよ!
その「なっ!?」みたいな同意を求める目で俺を見るな!
その間にも会場は大混乱。学長はヨロヨロと他の教師に支えられながら舞台から降り退場。
百戦錬磨の学年主任といえど、今回の事件は初体験だったのだろう。
焦った声で一言「静かに!」と叫ぶと、そのまま無理矢理に入学式を終了させた。
これがのちに語り継がれる「入学式の乱」であった。