「フッ…やってくれる」
暗闇の中、剣を携え男が立っている天に浮かぶ大地より、その深紅の瞳で下界を見下ろしている。男は剣を空へと放つ…
[カッ!]
空中で火花が散る。投げ放たれた剣が空を舞い、光に侵されるようにボロボロに砕け風にとけた。
「…結界か…」
剣が消滅しても空間がゆがみ火花がちっている。
男は笑みを浮かべながらこの結界をはった者の言葉を思い出していた。
「貴様等、何が目的でこのアークへ攻め入った!」
息も絶え絶え…だが屈する気はないと思わせる力強い眼光で赤い瞳の男を睨みつけている。この国の王だ。
男は王に、興味がないように空を見上げ口を開く。
「この大地を砕き…贄として闇の竜へ捧げ、数千年のときをこえ復活させる」
闇の竜の復活はこの世界の破滅を意味する。
「くっ…そんな事はさせんぞ!」
王は男に向かい駆け出したこの男を野放しにしては置けない命にかえてもこの場で…
「…ニィ」
男は動こうとしない…王は剣を男に向けて突進する。まるでその様をあざ笑うかのように笑みを浮かべる。
「ぐがぁ!」
…うめき声がひとつ…あたる筈…貫く筈だった。だが剣は男には届かない。