王の剣は男の眼前で止まる…腕が動かない…体も…
荒い息使い。意識が薄れていく中今まで感じなかった気配が王の周りにつどう。
「我らが主には…」
「何人たりとも指一つ…」
「触れさせはせん」
気配は三つ…凄まじい殺気…赤い瞳が暗闇の中妖しく輝く…王は体を動かそうとあがく…だが動くはずもない。王はきずいた。
腹、腕、足…地面より伸びた槍のような、角のような物で貫かれている。体中傷つきすぎて痛みは鈍く目視するまで気付かなかった。
王は力尽きようとしていた…が目の光は衰えず男の顔を睨み付ける。
その様を見て男は口を開いた。
「竜の王よ、お前は何故そこまで戦う?膝まずき我らの軍門に下ればこの大地に住まう者達も死なずにすんだものを…」
「ふざ…け…るな…」
王は語る。血を吐き、貫かれた腹部を押さえ、踏みにじられたアーク、そこに住まう竜の民を思い…
「我らはこの世を守りし光の竜の末裔…それがこの大地を破壊せんと目論む輩に膝まづくなど…死んでもできるか!」
「……なら…死ねばよい」
男は冷たく言い放ち右手に魔力を集中させる。
今、その魔力が解き放たれる瞬間…王の体が光に包まれた。