街を出て3日、そろそろ目的地に着くころだが…3歳児を連れていてはなかなかスムーズに先へ進めない。
しかし、予定より遅れているものの目的地まではもう少しという所まで来ている。
そんな時に事件が起こった。
険しい山道を歩き回りやっとのことで整備された道に出たときだった。
突然、いかにも盗賊っぽいなりをした男達が道のど真ん中に現れた。
「おう!そこのお前。金目の物と女とガキ、渡してもらおうか。」
そう言うと男達は脅すように無駄に武器を見せびらかした。
…面倒くさいことになったな…
この世界に来て初めて戦闘を予感させるシチュエーションだ。
「ニコ、援護を頼む」
ウラは背負っていた銃を構えた。
…………
「ニコ?」
後ろに居るはずのニコから返事が無い…
ウラはまさかと思い恐る恐る後ろを振り返った。
あの時の予感は見事に的中した。
遥か後方、木陰に隠れるニコとロー。目があった瞬間「頑張れ!」と言わんばかりのガッツポーズをつくっていた。
…マジで逃げるか普通…
唖然とするウラに構わず男達が襲いかかってきた。
相手は斧や剣といった原始的な武器だがウラの携える銃は高速の光を打ち出すレールガン。
大人気ない気もしたがやらなければやられる他ない。
案の定男達はウラに触れる事すら出来ずに軽くあしらわれていた。
次々と体格の良い男達をなぎ倒し、残りは盗賊のリーダー1人となった。
ウラは躊躇する事なく銃口を向ける。
その瞬間、バン!という音が鳴り響く。レールガンとは明らかに違う銃声。
ウラは腹部に激痛を感じた。防弾チョッキを着ているものの至近距離な上まさか銃を持っているとは思っておらず完全に油断していた。
ウラがよろけて体勢を崩した隙にリーダー格の男は容赦なく引き金に指をかけ狙いを定めた。
…間に合わない…!
ウラはそう思ってガードの体勢に入る。
だが次に聞こえた音は銃声ではなくドスンという不可解な音だった。
……………
ウラの目の前には気絶した大男の頭を踏みつけるニコが立っていた。