* * * * * *
翌日――
仕事を終えたら、彼女と食事に行く約束をしていた僕は、
彼女から連絡が入るまでの少しの時間を適当に過ごしていた。
待ち合わせ場所は札幌駅だから、
駅直結のショッピングモール“JRタワー”内で時間を潰す事が出来た。
この“JRタワー”の最上階、38階には、札幌の夜景を見渡す事が出来る展望室があり、カップルのデートスポットとしてオススメの場所である。
勿論、僕はまだ一度も此処で夜景を見たコトはない。
ブー‥ブー‥ブー‥‥‥‥‥。
マナーモードにしていた携帯が、ジーンズのポケットの中で鳴った。
彼女からだ――
《お待たせ♪北口から出てくれるかな。ダークレッドのVitzだよ。》
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『ごめんね。待たせちゃって。』
助手席に乗り込む僕に、彼女はそう言って微笑んだ。
『別に、そんなに待っていないよ。
ショッピングモールを見て回ってたし。』
『ホント?!よかった。』
今日の彼女は昨日と髪型が違っていた。
サイドの髪をトップまで持って来て、後ろでクルッと丸めている。
『今日は髪型、何時もと違うね。』
思わず自然な流れで口走ってしまった。
『え?!これ?!こんなの一分で出来ちゃうよ。ただ、後ろで束ねて丸めただけだよ。』
一瞬、キョトンとしたカオをした彼女。
『えっ?!そうなの?!ごめん。僕、何か変なコト言っちゃったね。
あまり女の子の髪型とか、気にしたコトなかったから。』
これは紛れもない事実だ。
『何言ってんのよ!!今までに付き合った彼女‥いたでしょ?!』
彼女にそう言われて、僕は一瞬黙ってしまった――