『えっ?!あたしも何か変なコト言ったかな?!』
車の運転をしている彼女は、間違いなく正面を見ながら運転している。
だから、助手席に座る僕のカオは見えない筈。
ちょっと傷付いたって表情をしている僕のカオがね。
『エリカちゃんは何も変なコト言ってないよ。だって、僕の彼女イナイ歴は二十三年だから。もう直ぐ、二十四年になるけどね。』
どうせ―\r
“え―っっ?!マジで?!”
とか言うんだろうな――
――と思っていた僕だけど――
『ごめん。あたし、未來を傷付けちゃったね。本当にごめん!!』
予想外にも、素直に謝られてしまった。
『所で未來。今日は、あたしがオススメする、カジュアルイタリアンの店へ行こうと思ってるの。』
彼女は話題の移り変わりが激しい。
女の子ってみんなそうなのか?!
『カジュアルイタリアン?!』
『うん。以前、番組の取材をさせて頂いた事のあるお店なんだけど、そこのパスタが凄く美味しいんだ。未來、パスタは好き?!』
そうか―\r
彼女はTV局のADだった。
ローカル番組の制作スタッフとして、取材までやらされる事も、しばしばあるらしいからな。
『うん。僕、あまり好き嫌い無いんだ。パスタは大好き。』
『そう。よかった!!その店、白石にあるから、此処から少し離れてるの。
お腹が空いてるかもしれないけど、もう少々我慢してね。』
彼女の運転する車で僕達は――
彼女オススメ、カジュアルイタリアンの店へと向かった――