「ふ、はは…は…」
誇り高き竜の王は笑う。
狂ったわけではない。自分の成すべき事を把握し、確かに感じる希望の為に死に行く自分の肉体を、滅び行く己の魂をかけれる事がうれしいのだ。
「娘よ…(きぼうよ…)」
王は笑う己の全てをかけてアークを一時的だとしても闇から守れる事がうれしいのだ。
「聞けぇ!聖域を汚せし闇の使徒よ!貴様等にこの地を、地上を侵させはしない」
王の体が光に包まれる。光が王の体を飲み込み拳大程の大きさに収縮し一気に爆ぜる。
「光の竜の加護をガイアートに…」
【竜甲縛…光竜結界陣】
爆ぜた光はアークを覆うように地を空を走る。
赤き瞳の者達はあまりの眩しさ、力強さに、身動きが取れない。
王は消えた…跡形もなく…否…王の魔力が島を包んでいる…闇を外に出さないために…アークに封じたのだ空には空を飛ぶ異業なる影が多数飛んでいる。
男は命じる。
「地上を燃やせと、破壊せよと…」
空より降り注ぐ赤い光、巨大な体
「希望など微塵も存在せんという事を…思い知らせてやる…」
男は笑う。深紅の瞳を煌めかせ、空中に目を向け王に語りかけるように…怒りをこめるように…