智宏は高校に入り、すぐに好きな子ができた。
後ろの席の女の子。
長野 桜。
桜だ。
入学式の日、それは智宏にとって衝撃的な出逢いだった。
新入生代表で挨拶をしていた桜に、智宏は一目で恋に落ちてしまった。
身長145cm。その小さな体から出る声は、ハキハキと、でも透明で。
まっさらな桜の声と、おろしたての真っ白な制服。
智宏は、桜のことを目で追うようになっていた。
半年ほどたったある日、智宏は放課後の教室で、女子たちが話しているのを聞いてしまった。
「桜は好きな子いないの〜!?」
「……………いるよ」
「えーーーーっいるのぉ?!誰!?誰!?誰!?」
「……………仲…村くん」
智宏は慌ててその場を去った。
桜が俺のことを…?
それからは、智宏はますます桜のことしか目に入らなくなっていった。
そして高校2年に上がった春。
2人はつきあい始めたのだった。