猫又の怨み
「猫又の怨みって…、確か猫又を忌み嫌った者が一匹残らず死んだ伝説だっけ？」
デフォルトが首を振った
「いや…それは仮の噂にすぎない。」
ラキナが僕の肩に手で叩く 「アルはんの独り言…、聞いててくれたらしいで……？」
黒いフードの猫が笑う
「ハハハっ、…まあよかろう。教えてやる。」
台座から降り、スタスタと僕の方に来る。
「…本来、猫又の怨みとは、人間に対する呪いだ。」 呪い…？
「猫又と同じ、体に障害を抱え、人間に忌み嫌われた猫がいた………。足が悪いから石を投げたり、蹴ったり、いじめたりする人間が増え始めた。」
デフォルトが教壇を叩く
「虐待などあってはならない！猫は古来から人を食べる動物として君臨していた！それがどうだ！？今やペットとなり！人間の言いなりだ！！」
僕は同感してしまった
でもご主人様は違う
僕を言いなりにしていないと信じる。
「この哀れな一人の人間が！猫界を脅かす存在となるのならば…！」
子分猫達が「抹殺せよ！」と声を合わせた
「デフォルト様、テイル様、アース様を手配します。」 幹部らしき猫がデフォルトに言った
「ああ……、フフ…面白くなるぞ…！」
僕はラキナとデフォルト達と共に教会の前に出た
デフォルトが叫ぶ
「さあ…！作戦を確認しようか！」
「まず、囮だ。わざと体が悪いふりをしてそいつに近付く。」
デフォルトが四足で歩き、片方の足を引きずる
「こんな風にな。」
黒いフードの猫がデフォルトに質問した。
「だが…そんなので本当にあの男は来るのか？」
それは僕も同感だ
もし仮に空回りで終わるのならば、意味がない。
ラキナも少し不安げな顔で、後ろ脚で耳を掻いていた。
「ん〜む…、確かに……空回りになるかもな…。だが………、人は誰しも憎悪を持ってしまうようなきっかけがある…。それを利用するのだよ。」
僕は納得できぬまま、デフォルトについて行った。
一方 エースは…
「ああ〜あ………、疲れた…。」
のびをしながら三丁目を歩く
「お前がエースか？」
突然、屋根から声がする。
「……ああ。」
「はじめまして…。俺はマーシャル。」
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