8話『不幸は…。』
アラタと私は自宅へ戻った…。
そして私を優しく抱きしめた。
アラタ『ごめんな。側にいれないからこんな事になって。
俺のせいで後に残る怪我までさせて、いずみにお詫びのしようがないよ。
俺は嘘をついた。守るって約束したのに……。』
いずみ『アラタ、自分を責めないで。
私も用心するべきだったから。私なら大丈夫だよ。』
私もアラタを強く抱きしめた。
アラタ『いずみ、ご両親にきちんと話さないと…。』
いずみ『お父様には言わない方がいいかも。
仕事で忙しいから心配かけたくないの。お母様はとっくに他界してるから。
でもアラタの気持ち嬉しいよ。』
アラタ『いずみ………早めに婚約したい。側にいて欲しい。』
アラタ………。
いずみ『来月、旦那が日本に一時帰国するから、その時にきちんと話すから。』
やっとアラタの表情が少し明るくなった。
私たちはリビングで過ごした。
いずみ『コーヒーでも入れてくるね。』
離婚………。本当にそれでいいのだろうか?旦那を傷付けてまで幸せになれるのだろうか。
そう考えても、もう気持ちのブレーキはきかない。
私とアラタの想いは鎖で繋がっているかのようだった。
アラタは、初めて会った時より、顔つきが大人っぽくなった気がした。
アラタ『今日、俺が帰るまでここにいてくれないか?
まだ話したいし。』
いずみ『話したいだけ?』
意地悪な返答。
アラタ『いずみは意地悪だな!
もうここにずっといなよ………と言いたいとこだけど、まだ無理だよな。』
いずみ『アラタも意地悪。…でも今日はここで待ってる。』
ホントは今日はこのまま一緒にいて欲しかった。
続く…。 8話No.1