アリネスは思わず眉間にしわを寄せて、唸ってしまった。
「アリネス様…、そのようになさっていると、歳をめした時にしわが増えますぞ」
その様子を見たリグラは、悪戯っぽい笑みを浮かべて、からかった。
「っ!」
そう言われて、アリネスは慌てていつもの表情に戻し、ギロリとリグラを睨んだ。
「おお怖い、アリネス様、そのような顔をしていると、折角の美しい顔が台無しですぞ」
リグラはその視線を見て、思わず笑ってしまった。
「…はあ、もういいわ。それより、まだ調査の報告は来ないのかしら?」
「この時間であれば、ラトの調査はもう終わっておりましょう。ベイスからこの城までは少し距離がございますので、恐らくは夕方頃に到着するはずです」
「そう…」
リグラの答えに一つ大きく頷くと、アリネスは窓の外にある青空を見つめた。
戦争だけは…絶対に避けなければ…―\r
そう思いながら、アリネスは憂いの表情を浮かべて、一つ小さくため息をついた。
「アリネス様…、どうやら、そう簡単に戦争という手段を選ばずともよくなったかもしれませんぞ」
リグラはアリネスの悩みを察すると、にこにこと笑って、言った。
「え…それは、どういう事なの!?」