「誰から?」
部屋に戻るとちぃちゃんが受話器を置こうとしたとこだった。
「間違いだったみたい☆」
そう言ってほほ笑むちぃちゃんは、ここ最近ずっとウチに出入りしてる。
まぁ、昔から知ってるから例え留守でも出入り出来るんだけどね…。
「それより碧、おば様の所は?」
「…そだっ」
時計を見て慌てる。
今日は母さんの面会に行く日だった。本人にも言ってあるし顔くらい出さないと。
バイトの時間もあるし、ゆっくりしてられないな…。
ちなみにバイトの事、水城ちゃんには言ってない。
心配するからだ。体の事とか…。
でも、いつまでもお金の事でちぃちゃんのお母さんに頼ってられないし、今どうしても欲しい物があって夏休みの間だけでも掛け持ちを続ける気だ。
「行って来ます!」
「行ってらっしゃい♪」
ちぃちゃんに見送られてバイト先のコンビニへ急いだ。
碧が出て行く様子を確認すると、千里は一人冷やかな目をして呟いた。
「碧は千里のもの…。あんな娘に渡すものですか…」