頭脳と頭脳(7)

未熟  2008-06-23投稿
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「そうだ。あいつは爆破事件なんて一言も言ってない。」
哲史の顔が悔しそうに歪む。
「だまさせられてた。」
「ああ。ある場所で大々的な事件がおこり、その場所で事件をおこしたといえば・・・・・・」
「その事件をしたとしか思わない。はったりや、虚勢をするうえでの典型ですね。」
そう、思考を固定する。
詐欺などの基本。
「しかし、花火をたくさんの人に見てもらったって言ってましたよ。」
そこか。
それはさっきのニュースが証明している。
「爆破がおきた場所はどこだ?」
「地下です。」
「みんなってのは誰だ?」
「観客?」
「なら、観客はどこで花火を見た?」
「そりゃ地下で・・・・・・そうか。ありえない。」
そのとおり。
「爆破がおきた瞬間には、観客はみんな死んでいるんだ。だから、花火を見ている時間はないんだ!」
そうだ。
花火というのは火でつくったもの。
しかし、観客は火がつき、燃え上がるさまを見るまえにみんな死ぬ。
1階以下の生存者がいないくらいの爆発なのだから。
「それなら、周りの人のことを言って・・・・・・それもないか。」
ニュースで、火はたいして広がらなかった。
そして、迅速に消火作業は進んだ。
人は、2階以上にも、ビル周辺にもたいしていなかった。
これらから、火を見た人はそう多くなく、たくさんの人にはあてはまらないと考えられる。
「つまり、覆面は違う事件をおこしたということですね!」
そこで俺は黙る。
いや、この事件の首謀者は間違なく覆面だ。
覆面が実際に手を下したかいなかの差はあるだろうが。
だから、こいつは30人やそこらで、たくさんとは言わないはずとよめる。
爆破なんて大きな事件をおこすようなやつだから。
だが、俺のよみが正しいとすれば、他にも事件がおこったことになるんだから。
同じ市、同じ日に2つの事件。
普通に考えれば偶然ではない。
まあ、そこまでわかったなら、哲史は次の疑問にたどりつくはずだ。
俺と同じ疑問に。
「なら、覆面はどんな事件を?しかも、なんで事件をおこしたなんて言っておいて、それを隠すなんてマネを?」
そう、それがわからない。
爆破事件のせいで、他の事件がとりあげられてない。
これが狙いか?
しかし、すぐに報道されるはず。
隠すことになんの意味が・・・・・・

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