アリネスは驚いて、リグラを見た。
「何より大きいのは、あの三人の話によって、ベイスを破壊した犯人の特徴が掴めた事です」
「ああ…確か、熊のような男と、性別不詳だけれど、破壊に直接手を下した者…だったかしら」
「そうです。しかも、ご丁寧に名前まで名乗ってくれた。これは非常に重要な事です」
「でも、偽名を使っているかもしれないわよ?」
アリネスは首を傾げながら、言った。
「これから死にゆく事が目に見えている人間に、偽名を使うでしょうか。…まあ、その性別不詳の者は偽名の可能性もありますが…ね」
リグラは顎に指を当てながら、意味深な笑みを浮かべた。
「とにかく、調査結果を待ちましょう。全てはそれからです」
「…それもそうね…」
アリネスは首をしきりに傾げながら、また眉間にしわを寄せて、唸った。
その様子を見て、リグラは思わず噴き出しそうになるのを懸命にこらえた。
アリネスが本気で怒り出したら止まらなくなるのを、知っていたからである。
「え…三人一緒の部屋!?」
リリーは愕然とした表情で、案内された部屋を見渡した。
そこは来客用に用意された部屋で、ベッド二つと窓が一つだけの簡素なものだった。