俺は絶対にブラックジャックを読み終える!
手塚の妨害を避けつつ読み終えてみせるぞぉぉぉぉぉぉ!!!
・・・と心に誓った。
・・・スッと本を開く。
手塚チラミ。
パァァァ〜ン!
・・・スッと本を開く。
手塚チラミ。
パァァァ〜ン。
・・・スッと本を開く。
手塚チラミ。
パァァァ〜ン!
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
長い長い戦い。
手塚も、もはや意地になっている。
車内の乗客も俺たちの戦いに注目しているのが伝わる。
何分戦いが続いたのだろう・・・
俺の精神力もつきかけたその時!
前の高校生が席を立ち降車した。
やったぁうわぁぁぁぁ〜!!!!
心の中で勝鬨をあげた!
ついに戦いに終止符がうたれた。
即座に座り手塚の顔をみる。
手塚、明らかに悔しそう・・・。
完全勝利。
一喜一憂で一人でブラックジャックを堪能する。
・・・が。
次の駅で俺の隣のサラリーマンが降車・・・。
うわぁぁぁぁぁ〜・・・
手塚の顔を見ると明らかにニヤニヤしている。
手塚となりに着席・・・
俺のHPは、もはや0に等しい。
・・・負けたよ。
・・・さぁ
・・・もう一緒にブラックジャックを池袋まで読もう。
敗北した俺は、自分のペースでページを捲ることはできなかった。
そんなおり。
手塚は勝利に確信したのかウトウトしだした。
手塚の頭は右へ左へ
遂には俺の肩にもたれかかった。
なんだよコイツ!
どこまで俺を敗北の底へ誘えばいいんだよ・・・
心の中でいくら爆発しても彼には届かなかった。
肩で手塚がスヤスヤ寝ている。
俺は諦め、ブラックジャックを読むことに集中した。
すると、
車内の乗客が俺の方を見てクスクス笑っている。
・・・・?
・・・・・・!?
・・・・・・・・ま、さ、か、!!
すぐに手塚の顔を覗きこむ!!
テ!ヅ!カ!起きてるぅぅぅぅぅ!!!!!
寝たふりきめこんで・・・
俺の肩利用して・・・
ブラックジャック読んでるぅぅぅぅぅ!
車内の乗客は笑っている。
その笑いに俺もつられて笑ってしまった。
そこで初めて声をかけた。
俺「負けました・・・ブラックジャック渡しますから読んでいいっすよ・・・」
手塚「いえいえ。最後まで二人で読みましょう。ニヤニヤ」
池袋まではまだまだ遠い。
おわり