「森山と由美はもう、仲直りしているから」
「あの2人が!?」
私の話しに良子は驚いていた。
電話だから相手の表情は分からないけど、喋る口調から、心の動揺が感じ取られる。
良子は言う。
「知らなかった、あの2人が仲直りしていたなんて。雅美は前から2人の事、知っていたの?」
「知っていたよ」
「知ってて何故、教えてくれなかったの?」
「言うべきだった?」
「勿論よ。黙っていた理由を知りたいわね」
「良子がショックを受けたらイケナイだろうと判断したからだよ。
言っちゃあ悪いけど、良子って…、何をしでかすか分からない…って思ったしね」
「なあーんだ、そんな事を気にしていたの?
別に私、ショックなんか受けないし、変な気なんか起こさないわよ」
「でも良子、アンタは森山の恋人になりたがってたじゃない?
結果的には由美に取られたような格好になって、思わず動揺した。
私には、そう感じたよ」
「正直言って、最初は愕然となったけどね」
「でしょう?」
「でも私、今は拓也への思いなんか冷めちゃったから」
「冷めた?」
良子の意外な言葉に私はビックリ!
良子は更に言う。
「あの2人の関係がどうなろうと、私には関係ないし。お好きなように…って吹っ切れた感じだから」
良子は淡々とした口調で自分の思いを聞かせてくれた。
「なるほど。じゃあ…余計な心配は御無用ってワケだね」
「まあね」
「そう、なら安心したよ」
私は表情を明るくした。
「ねえそんな事より、由美の浮気の事だけど…」
「そうそう、忘れてた」
「由美の浮気、拓也は知っているの?」
「多分、森山は知らないと思う」
「それは大変だわ。
拓也、この事を知ったら私以上にショック受けるかもよ」
確かに良子が言った通りである。
由美の浮気なんて、森山は今のところは知らないのだから。
─交際している相手が浮気中で、しかも…色んな男と関係持っている。─
こんな事実を森山は知ってしまったら…、
私は何だか、不安を感じた。
つづく