「…そんな感じかな。」
「そっか。そんな事があったんだ…でも、解決してよかったね!」
トラブルが解決した事を自分の事のように喜んでくれる由紀を見て、聡はもう一度キスをした。
「はい!ここまでね!!」
由紀は小さい子供をなだめるように、再びのびてきた腕を押さえた。
「やっぱりダメだったか…じゃあ今日は諦める…」
少し淋しそうな顔を見せたが、再び仕事の話に戻った。
由紀は嬉しかった。奥さんには出来ない話を私だけにしてくれる。聡がこんなにも頼ってくれて必要としてくれる。
自分だけが特別な立場で誰も知らない聡の弱さを知っている。
由紀は優越感に浸りながら、そんなふたりだけの時間をとても心地よく感じていた。
「ねぇ、好き?」
答えは分かっている。
「分かっている事を聞くなよ!好きに決まってるでしょ。こんなに体拒まれてたら、普通面倒くさくなって会わないと思うけど。」
「そぅ…」
聡の予想通りの答えに、由紀は満足そうな顔をした。
そして、今度は由紀から聡に軽くキスをした。
「じゃあ、そろそろ行くね。また夕方事務所で!」
「…それじゃ、後で。」