「覚醒って…何のことだ?」
少年が尋ねた。返事は直ぐに返って来た。
「貴様…何も知らんのか?」
不思議そうに答える男に、少年は言葉を返した。
「あぁ。知らないさ、何も」
男が返す。
「貴様は……レン…だよな?」
「!……何故知っている?」
「やはりそうか……しかし知らないということは…ガイル様は知らせていないのか?」
「何をブツブツ言っている?」
「いや…何でも…」
「それより、お前は何者なんだ?」
「俺か?俺はグラン。グランツ・イードルシェだ。」
「そうか……どうやら敵ではなさそうだが…」
「そんなことはどうでもいい。それより…俺はもう行く。貴様とは…また会うだろう………では、さらばだ!」
それと同時に、グランは笛を吹いた。すると、向かいの雪山の方から、四つ足に巨大な翼の、白い飛竜が現れた。体の全てが真っ白だった。体長は、4〜5mほどだろうか。かなり巨大だった。グランは、その飛竜の背中に飛び乗り、雪山の向こうへと消えて行った。レンは、その光景を見て、ただ、立ち尽くすしかなかった。竜なんて空想の世界だけの生き物だと思っていた彼にとって、衝撃的な光景だったのである。レンはしばらくの間立ち尽くしていた。