「ノイザ―でなきゃ、あの雑音は聞こえない。」
ウィルはそう言うと鼻で笑った。
―ノイザー・・・・・
ウィルが救ったある少女もそう呼ばれていた。目の前の怪物・・・いや、あの男もまた、ノイザーと呼ばれ、そしてウィルまでもが・・・・。
「なぜだ。なぜノイザーが警察なんだ?!」
男はパニックを起こしている。
「バーカ。俺がノイザーだってこと、周りが知ってるわけないだろ。教えてたら警察になれんどころか、殺されるかもしれんからな。」
ウィルは悲しい顔で笑った。
「・・・・・・なぜ警察などに・・・・・。」
低いとも高いとも言えぬ音でぼそぼそと放つその声は崩れゆく木材の音にかき消されてしまいそうだった。
「なぜか!?そんなこと決まってんだろ!俺らを・・・こんな体にした奴らを、捜し出してぶっ潰すためだ!!」
「・・・・・すべてはあの事件が始まりか・・・・・。多くの人間が死んだ・・・。」
ウィルはその言葉で改めて思い出す。数年前に起きた、奇怪で恐ろしい事件のことを・・
「あの事件で多くの人間が死んだよ。原因はわからずじまいだが・・俺は犯人がいると踏んでるんだ。だけど、アンタがやってることは・・!」