こうして俺は一三雄大のマンションにしばらく匿ってもらう事となった。
その第三夜の事である―\r
俺はリビング兼寝室のソファーと一枚の毛布を借りて寝ようとしていた。
雄大のヤツは例のフィギュア専用部屋にて沢山のコレクションと共に既に寝入っている筈だ。
23時を回った頃、俺は熟睡モードに入った。
そして―\r
俺はふと目が覚めた。
誰かが付けたのか、部屋には煌々と灯りがともっている。
そして―開かれた俺の目の前で、一三雄大がぼうっと立ち尽していた。
起き上がろうとして、すぐに俺は気付いた。
俺は毛布ごとロープだの紐だのでソファーにぐるぐる巻きにされている!
『雄大―こ、これは…』
『済まない』
そしてヤツの手には―フィギュアではなく俺のカップラーメンが握られていた!!
『お前を某国の諜報機関に売った。後30分で情報員がこのラーメンを取りに来る』
『てめえ!』
俺は叫び、ヤツに掴みかかろうともがいたが、空しくソファーをきしませるのみで情無い事この上ない。
それでも、
『お前が望むのはフィギュアじゃなかったのかよ!』
すると、ヤツは丸々とした顔をゆっくりと左右に振った。
『フィギュアを―買うのさ』
しまったああああぁぁぁぁぁ!
その手が有ったか―\r
確かに価千金のラーメンだ。
それを元手に世界中のフィギュアを集めようとの誘惑にヤツは負けたのか―\r
『ラーメン狙うヤツはとんでもないのばかりだぞ』
それでも俺は声を張り上げた。
『俺だけじゃない。口封じのためにお前だって―』
ガチャリ
消されるぞ、と言おうとした瞬間、玄関が開き―\r
スーツ姿の男達がぞろぞろと上がり込んで来て、俺が縛られたままのソファーを取り囲んだ。
見掛けからすると、この男達は欧州のどこかから来たみたいだ。
『君が大池太郎か』
男の一人が流暢な日本語で話しかけて来た。
『私は新設されたM900機関の情報員でね』
M900?
イギリスか?
『世界中のラーメンホルダーと接触し、ラーメンを回収するラーメンG‐MEN、通称《RA-MEN》だ』