昨日の騒ぎが嘘だったかのように清々しい朝。目覚めたレンは、再び下山を始めた。レンの目に迷いはなかった。下山を続け、ようやくノール村が見えてきた、その時だった。目の前に見覚えのある影が現れた。
「………グラン…!」
一度会っただけだが、レンの脳にはしっかりとグランの姿のが刻まれていた。
「………貴様か…」
レンは真っ直ぐにグランに向かって行った。
「何だ、やけに攻撃的だな」
「師匠を…師匠を殺したな!」
レンの頭には、完全に血が上っていた
「……何故そう思う?」
「……昨日……夢を見たんだ…師匠が…でかい男に斬りつけられる夢……あの男は…お前だった……」
「何故死んだと言える?」
「…夢の最後に……さよならと…言っていた………」
「ほぅ…」
「…………」
「…正夢とは、本当にあるものなのだな…」
「!……じゃあ……本当に…本当にお前が師匠を………!」
レンは、今にも泣きそうな顔で言った。
「……心配するな…」
「!」
「奴は生きている」
「……本当か?本当なのか!?」
レンは、まだ信じらんない様子だ。
「あぁ、一応な………だが…」
「だが?」
「…捕らえられている…」
「…は?」
「捕まったんだ……奴らに…」
グランも、少し、悲しげな表情をしていた。