『拘束者20537号椎名瑠美、尋問室へ入室せよ』
天井についてる赤色灯だけが唯一の光である尋問室にシェイルが連行されてきた。
シェイルは後ろ手に拘束された状態で奥に置いてあるパイプ椅子に座らされた。
シェイルは疲れきり頬が痩せてしまっていた。
5分後、尋問室に入室した者がいた。
「シェイル=パトリック。貴様がここに居る意味がわかるか?」
シェイルは声の主が誰であるかを判別した。
しかし、その人物を見ることは出来ない。
何故ならシェイルはその人物に対して背を向けた状態で座らされているからだ。
シェイル「ふ…その調子だと軍に復帰したみたいだね…龍雅」
龍雅「貴様の会社に辞表を提出したら直ちに解雇だよ。それに厳密にいえば俺は軍に復帰したわけでもない」
声の主は龍雅であった。
シェイルは鼻で笑って龍雅を寄せ付けまいとした。
しかし龍雅は声色を強めた。
龍雅「シェイル…貴様がやったことは軍に対して行う協力義務の違反、言うなれば国家反逆罪に問われかねない事だ!!」
龍雅はトーンを落ち着かせた。
龍雅「貴様のせいで軍の指揮系統に僅かに混乱が生じた。だが逆にいえば俺はそれを狙っていたのだがな…」
シェイルは瞳孔を大きく開くほどの動揺を見せた。
シェイル「本性が現れるのを待っていたわけ!?…あ〜ぁ、本当にいつまでも食えないガキだねあんたは…」
龍雅は口元に笑みを蓄えた。
龍雅「俺は貴様らの依頼をこなす一方で独自の調査も行っていた。…貴様らの会社には何かある…。違うか!?」
シェイルは徐々に高笑いし始めた。
シェイル「多分、あんたの目の付け所は正しいよ。一連の首謀者…それはね…」
龍雅が核心に触れるべく口を開いた瞬間だった。
『敵襲!!敵襲!!我が本部に接近するストライカーあり!!数は30!!総員第一種戦闘体制に移行せよ!!繰り返す…』
けたたましいサイレンと共に早口気味の放送が流れる。
シェイル「狙いは…多分あんたかな??まぁ、せいぜい頑張って…」
龍雅「お前に言われるまでもない!!」
龍雅は部屋を退室した瞬間、あることに気がついた。
龍雅(だが俺にはストライカーがない…。まだ修理している…)