月曜の朝。一週間のうちで一番嫌いで憂鬱な時。
『おはよ〜。』━━世界で一番、噂好きな女。麗子。大嫌いな女。
『おはよ。』 『知ってたぁ?隼人、煙草見付かって一週間の停学らしいよ〜』━━どこから聞き付けてくるんだか。 『…へぇ、そうなんだ。知らなかった。』
『でも、隼人も頭悪いよね〜。これで煙草、3回目でしょ?ダサーイ。』
━━お前が頭悪いんだよ。 停学、だから朝からいない訳…。
隼人がいない学校の中は何もない。学校に来てる意味がないのと一緒だった。 『おすっ』『おはよ。停学終ったのね。』 私の言葉にそっと舌を出して右手でVサインを作った。
屋上には、今にも壊れそうなベンチと、なんでか理解できないけど卓球台がある。4階建ての学校の周りには、山と川と海だけ。だから何をしても見付からない。
『あの時…あの時、ありがとね。』
『何が?』
『お酒、気付いてくれたでしょ。飲めないこと。』 『なしたの、今頃。』
『なんとなく。言いたくなっただけ!』
12月の風は、雪を降らせて私の周りを白くしていった。
新雪の上にある悪魔の足跡にも、容赦なく降る雪のせいで私はまだ気付けないでいた。