俺達のそばまで来た女性は、俺の顔を見て 「あっ」
と呟くと、サッと顔を真っ紅に染めて俯いてしまった。
それを見て、香緒里さんは笑いながら、
「ごめんなさいね。真愛はいつもこうだから代りに自己紹介するね」
と助け船を出そうとした。
「ひょっとして君、小野とちゃうか?」
涼平が突然閃いたとでも言うように、俯いている彼女に声を掛けた。
「あれ涼平さん、真愛の事知ってるの?」 香緒里さんは突然の成行きにびっくりしていた。
「知ってるも何も、俺達同じ高校やったんやで。俺とはクラスは違ってたけどなぁ」
と意味ありげに俺に相槌をもとめてきた。 その時ウエディングマーチが流れてこなかったら、きっと俺はとんでもない顔をして、立ち竦んでいたとだろう。