でもその話を聞いて、俺は一生懸命彼女に自分の気持ちを伝える術を考えた。卒業式の翌日はここを落ちると浪人しかないという、入学試験があるというのに。
夜半過ぎになって俺はようやく一つの方法を思いついた。
思いついた時、何故今までこんな簡単なことに気が付かなかったんだろうと、俺は一人で苦笑いをしてしまった。俺の出した答えは、手紙を書いて渡すことだった。
それから、明け方までかかって俺の気持ちを伝えるべく手紙を書き終え、布団に潜り込んだのはもう五時をまわっていた。もちろん熟睡などできるわけもなく、目を真っ赤にはらしたまま涼平と学校に向かった。
涼平は俺の顔を見て一瞬何かを言い掛けたが、いつものように接してくれた。
俺は手紙を懐に入れて卒業式に出席したあと、謝恩会の前に彼女のクラスに行った。
真愛とは三年になるとクラスが別れたからだった。
俺は彼女と仲の良かった女の子をこっそりと呼び出して、手紙を渡してもらうようにお願いした。 その子はかなりびっくりしていたけど、俺の頼みを聞いてくれた。