その時、小屋のドアが開いて、サイラスが中に入って来た。
「おう、遅かったな」
グラムは素振りを止めて、額の汗をタオルで拭った。「…」
サイラスは相変わらずフードを目深に被り、全身をマントで覆っていた。
「…まあいいや。これで任務の半分は終了した。だから、しばらくは指示が無い限り自由に行動していいらしいぞ」
「…」
サイラスは無言のまま、一つ小さく頷いた。
「お前さんはこの自由行動の間、何をするつもりだ?」
グラムは剣を鞘に収めながら、尋ねた。
「…」
サイラスは相変わらず無言のまま、小さく首を傾げた。
「…聞いた俺が悪かった。俺は久しぶりに酒を飲みに行ってくるかな…。明日の朝までには帰ってくるからな」
グラムは嬉しそうに頬を緩めながら、小屋から出て行った。
「…」
一人残されたサイラスは、おもむろに剣を抜き放って、大きく振り下ろした。
小屋の中に入ってくる太陽の光が剣に反射して、妖しい輝きを放っていた。
「…」
サイラスは小さく頭を振ると、剣を鞘に収めて、側にある古ぼけた椅子に腰を下ろした。
「…」
サイラスは一つ小さく息を吐いて、ゆっくりと椅子にもたれかかると、そのまま目を閉じて眠りについた。