「あのふたりもなかなか…」
「いいんじゃない」 拓海と実里さんは同時に、涼平と香緒里さんというカップルを評価していた。
「やい涼平!よかったじゃないか」
拓海は突然俺をヘッドロックしてきた。
「何が?」
突然のことだったので俺はなんの事か全く分からなかった。
「こんなかわいい娘と…彼女なんだろ?」 真愛に聞こえないように小声で囁いた。
「ちっ、ちゃうよ。さっき八年振りに会ったばっかだよ」
真愛に聞かれなかったかを確認しながら、俺は慌てて拓海の誤解を打ち消した。
「へっ、そうなんや俺はてっきり…」
拓海は腕の力を抜きながら、
「でも彼女、お前に気があるぜ」
再び囁いた。
俺は拓海がよくカップルの評価をするのを知っていたし、それがまたほとんど外れた事がないのも、よく知っていた。
俺はまさかという気持ちのほうが大きかった。何故なら、八年振りに再会したばかりだし、それ以上に今日初めて意思の疎通らしい事が、はかれたばかりだったからだ。