夕日が辺りを赤く染め上げた頃、エルダスの町に、ベイスが何者かによって破壊された事が、町長によって伝えられた。
広場に集まった町人達はそれを聞いて、
「俺達の町は大丈夫なのか!?」
という不安を口にした。
「町の警備を今以上に厳重なものにすると言ってきておる。大丈夫じゃ」
町長はなだめるようにして、町人達を諭した。
「そうか…」
「それなら、そうしてもらうしかないわね…」
町人達は不安げな表情を見せながらも、とりあえず納得して、それぞれの家に帰って行った。
「ちょっと待って下さい…」
町人達が家に向かうのとは反対に、一人の男性が青ざめた顔で、町長の元へ向かった。
「ベイスが破壊されたですって!?馬鹿な!あそこには私の弟夫婦と、私の息子がいたんですよ!」
男性は早口でまくしたてて、町長に詰め寄った。
「あなたは…ライルさん、落ち着いて下され!」
「これが落ち着いていられますか!くそっ!…ロイ…セイル…」
ライルと呼ばれた男性は、町長の前で座り込んで、涙を流した。
「ライルさん…」
町長は沈痛な面持ちで、座り込んでいるライルを見つめた。
「妻を亡くし、あの子には苦労をかけてきた。だから、息抜きをさせてあげようと…」