アセンズ王国
南大陸を支配する大国
だがそれは、かつての話 この国もまた、長きに渡る戦いで今は見る影もない。
サウディアス=ローディア=アセンズ
白髪に皺だらけの顔、口まわりを覆うような白髭。 それが今のアセンズ王国国王。
サウディアスは謁見の間の椅子に座り、前に跪く白銀の鎧を身に纏う2人の騎士を見つめる。
1人は少女。
名をロラン=ローディア=アセンズ
アセンズ王国第一王女。 現17才
ブロンドの少女。
その容姿は美しく、
戦う姿は舞を舞うように美しく。
戦場の女神のような存在だった。
王は決して口には出さなかったが、
とても誇らしく思っていた。
1人は青年。
名はクルー=ラシアム
国随一の剣士と名高い。 現28才
短く切られた赤髪は戦場で映え、敵に畏怖を与えた。
長く3人の間に沈黙があった。
この国は、
化け物が幾度となく襲い、少しずつ人がいなくなっていった。
それでも王も騎士も
そして民も戦い続けた。 何度も‥
いつの間にか国と呼ぶには人がいなくなっていた。 国はゆっくりと滅びの道へ向かっていた。
サウディアスはゆっくり唇を開く。
王「この国は、アセンズには‥もはや未来はないだろう。」
らしくない弱音
思わず顔を上げる。
だが、王の瞳は、戦場を駆ける時のようにとても力強く光を帯びていた。
王「このまま終わらぬぞ。悪あがきしようぞ！」
そして呼吸をおき
王「夢見のもとへ。」
まっすぐロランを見つめる。
王「サウディアス=ローディア=アセンズの名において、この国の未来、そなたたちに託す。受けてくれるな。」
その言葉に
その瞳に
ふただび頭を下げる。
その胸に深く誓いながら ロラン「必ず成し遂げてみせます。」
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