大江戸嘘八百八町の夜。まだ宵の口だというのに町には人影もまばらである。
なんせ夜8時には『密着ドキュメント ミント黄門世直しの旅』が放送されるからだ。
神出鬼没の現役副将軍が評判の悪い政治家や悪徳商人にドッキリを仕掛ける人気番組をリアルタイムで見るために人々は夜遊びも一時中断してテレビに釘付けである。
花の屋のおいらん愛染太夫もテレビに見入っていた「あ〜、良い気味だった。年貢をもっと重くすべきだって言い張ってた奉行が泣いて謝るみっともない姿。つぎの選挙じゃ落ちるんだろうな」
愛染太夫は頷きため息をついた。そして
「よし、次こそはうちにきてもらおう。まずは葉書」
愛染太夫は番組に応募葉書を書いてミント黄門が来てくれるのを待つ。
ここら大江戸嘘八百八町なんか似てるものがあったとしても気のせい。
因みにこれは時代小説ではないので時代考証とか気にしないでね。
〈つづく…多分〉