「次、何するの?」
「私、東京に行きたいんですよね」
「東京!?」
彼女が東京に憧れたのは、仕事で一回、新宿だかどこかで飲みに連れて行ってもらった時に、九州にはない瞳がチカチカする華やかさに、「東京って凄い!」と思ったらしい。
彼女は、20代後半。いつも服のセンスが不思議な女性だと思っていたら、ギャルに憧れていたのだ。
彼女は損するタイプで、第一印象は正直残像に残ってくれない。
でも、長くいる機会があれば、その味わいに深さに気付く。
そのうちそのヘンテコリンな服の組み合わせさえも、本当は自分が間違っていて、流行の最先端をいっているんじゃないかとさえ思う。
そんな彼女の顔は広い。
ツボにハマった友人は全国に点在し、BARで隣に座った異国人まで友達だ。
そんな彼女が今回東京に進出する。
外見とは違い、内面はかなり熱い彼女だ。一度決めたたら、ちょっとやそっとじゃ全然動かない。
今回の東京行きも本気だ。
あの時も突然だった。女の子が颯爽と大型バイクを飛ばして走るのがカッコ良い!と思ったらしく、なけなしのお金出して、沢山のあざを作ってまでも大型の免許を取ったのだ。
しかし、彼女の家の周りはぶっそうな所で有名。しょっちゅう自転車は盗られる バイクのタイヤには穴が開けられる。そんな所だ。
それに、教習所でお金を使いバイクを買うお金は無い。
完璧ペーパー!
でも、それでいいのだ。
彼女に計画という2文字は無い。
東京行きは着々と進み、仕事も決まった。
彼女は飛びだった。
少しは計画性は持ち合わせたのかもしれない。
…1ヶ月後、彼女は伊勢神宮でやっぱりヘンテコリンな服装で身を包み、空を見つめてる。
彼女は仕事場の上司とケンカし、あっさりクビになった。
無職だから帰るお金もない。
そうなんだ。これだから 私は彼女のツボスイッチが入った全国の友人の一人なのだ。
しばらくオフになる様子は全く無い。