レーヴェの声が聞こえた。自分を助けに来てくれた。そう思ったらセツナは意識が途切れた。フィアッカと呼ばれた精霊の胸の中で眠りに落ちた。
「さて」
レーヴェとフィアッカの周りを魔物が囲んでいた。
『どうするの?』
「この魔物はバラバラにしても再生するらしいね」
『そうだね』
レーヴェは笑っていた。この極限の状況を楽しんでいる。
「フィアッカ、一度剣に戻ってくれる?」
『レーヴェはそのほうがいいの?』
「うん」
『分かった』
そのとたん、レーヴェの左手に剣が現れた。セツナは足元で寝ている。
「疲れてるんだから起こすわけにはいかないな」
そういってレーヴェは剣を空へと射した。
「貫け、豪雷っ!!」
剣から物凄い数の雷が放たれた。
「ふぅ」
ハルはレーヴェと離れた場所にいた。近くの都市にいたセツナの村の防衛武芸者達を連れて来ていた。
「早くしなければ」
若い武芸者が言った。話しによると、都市から出兵依頼がきていたとのことらしい。
「急ぎましょう」
ハルと防衛武芸者達は村へと急いだ。
一瞬だった。魔物の群れが再生できないまでに黒焦げになっていた。風に吹かれて砂のように散っていった。レーヴェは急いで村に戻った。