地球の大地は緑と青に包まれていた
青い空の下で荒野のように大地は広がっていた
自分以外のすべてが広大に迫っていた
圧倒されそうなほど吹き抜ける風
その景色に人は立っていなかった
人々は大都会の真ん中でざわめいていた
うろうろと街を歩きまわっては滞りなく流されていた
人のいる景色に人は思うままに歩いてはいなかった
少し立ち止まってみた
すぐに隣の人にぶつかって止まることができなかった
僕は本当に自分の足で立って歩いているのだろうか
大地の上に立つには二本の足が必要だった
そして猿人は背筋を伸ばして前を見た
そのときから人は大地の景色の中にいた
飛べないことを知っていたから人は空の景色の中にはいなかった
ずっと歩き続けてきた今もずっと歩き続けるだろう
長い時間をかけて積み重ねられた人の足と大地との絆
青い空の下だけに人が立っていられたのだ
どんなに圧倒されそうになっても地面が支えてくれた
その景色に僕は立っていたかった