「一枚…二枚………八枚九枚……一枚足りな〜い」 愛染太夫の前で頭を抱えるのは自称発明家の平賀源外である。
「源さん、ツケ払ってくれないと困るんだよねえ、早食屋の笑顔0円ってわけにはいかないの。おいらんの笑顔は有料。さぁ、サッサと十両払って貰いましょうじゃぁないの」
「あ、愛染太夫そんな冷たい視線で見ないで下さいいっそぶって殴って愚弄して下さい」
源外に縋りつかれ愛染太夫はムチを取り出す。
ピシーッ?バシッ? 「た、太夫〜もっと〜」
恍惚の源外。
まぁ、要するにプレイなんですな。
「ああ、疲れた。源さんの変態に付き合ってると体力がもたない。こんなムチ振りまして……アーーッ?って絶叫しなきゃならないかしらね」
ぐったりする愛染太夫にスッキリした顔で源外は答えた。
「なんだ太夫夏バテか?うなぎ食え。うなぎ」
「源さん、鰻屋とユニットくんでるからってイチイチ宣伝しなくていいから」
「いやいや、宣伝ではなく鰻はいいぞぉ。産地偽装されてないものは特にいい」「はいはい。それはそうと歌舞伎者の電衛門さんと連絡とれてる?ここしばらくお見限りなんだよね」 愛染太夫に聞かれ源外もしばらく彼を見かけてないことに気付いた。
〈つづく……といいなぁ〉