井上の憂鬱

坂崎金太  2008-07-03投稿
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……何かおかしいことになっている。
ファーストフード店にある子供用の遊具の入り口に、井上が寝っ転がっているのだ。
井上というやつは、俺の知人で、後輩だ。
そして頭がおかしい……のはもうお分かりだろう。
まあ夜だし誰もいないから、セーフだけど。
「抜けなくなった」
奴はとんでもない言葉を発した。
……が、俺にとってはどうでもいいので放って置いた。
「抜けなくなった」
もう一度言いやがったこの野郎。
そんなに構って欲しいのか。
「……何で?」
仕方ないから構ってやる。
しかしその問いには答えず、井上は自力で這い出て……また入って行った。
「やっほう」
……なんだよコイツ。
「俺は気付いたぜい」
見ると、さっきと同じ体勢だった。
「うつ伏せで入ると抜けなくなるということをな!」
…………。
「ああ、大切なことを分かったな」
もはや笑うしかなかった。

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