襲撃の夜から空が白く染まり始めたころ、真と桑原の2人は現在の隠れ家に戻ってきた。
今のところこの場所はパンドラにはばれていないようで外出から帰る時も遠回りをして帰るようにしていた。
「先にお風呂使うわね」
そういって奥の部屋へ桑原が消えたことを確認すると、真は自室へと戻るりベットへと倒れ込み枕に顔を埋めた。
正直、今はマヤを助けるという目的のおかげで表明上は普通にしているが内面としては今の身体に不安を抱いていた。
桑原は科学者、そして開発者でもあり本人による検査の結果、身体自体は人間と何ら変わらないとの事だった。
今現在真の体内には何十億ともなるナノロボットが血液の赤血球と同じように体内を巡り、肉体的変化(真で言えば電流を発生させる等)時に体内の細胞を活性化させそのエネルギーを皮膚から放出している。
また身体に欠損や不具合が生じた際にはナノロボットが身体に対して最も有効な細胞を再構築して自己再生を促す。
すなわちこの身体は老いを知らず…そして限りなく不死に近い状態と言える。
そんな状態の身体でハッキリと自分を人間と呼べるか…、そしてそのような存在である自分自身がこのまま存在していいのか…、真にはその答えを見つける事が出来ない、
「いや…考えているふりなのかもな…」
ふと別の部屋から桑原の足音が聞こえた。
真はベットで身体を起こすと入口を見つめた。
その数秒後、桑原は慌ただしく部屋に飛び込んで来た。
「真!私のノートにパンドラからメールが!」
真は咄嗟に再び枕に顔を埋める。
「ちょっと!なに寝ようとしてるのよ?」
「く…桑原サン…とりあえずノート見に行くからとりあえずお風呂最後まで済ましちゃいなよ…」
「何照れてんのよ!いいから早く!」
そういう桑原の姿は濡れた髪にバスタオルを一枚巻いているだけの格好だったが本人はいたって気にしていない様子…
「目のやり場に困るからさ…せめて服来て…」
「あーもうっ!…めんどくさいわね。早く来なさいよ!?」
そういうと桑原は来た時と同じ様に足音を響かせながら戻って行った。
「はぁ…まったく…頼むよもう…」
真に取っては今のやり取りが1番疲れたような気がした…。