自分はここを追い出されるわけにはいかない。
『あの人』が来るまで。
(僕が、どうにかしてあげようか?)
「・・・・え?」
思いもよらなかった少年の言葉に、オーリュはつい声を上げてしまう。
だが目の前でいまだに怒鳴っているアンナには幸い、聞こえなかったようだ。
(・・・君はここで人を待ってるんだろう?)
・・・・!!!!
なんで、そのことを・・・
(あははっ!!僕はなんだって知ってるよ。だけどその代わり、僕のいうことを聞いてくれる?)
・・・なんだって?
(言葉の通りだよ。)
アンナの方に向き直っていたオーリュは、ちらりと金髪少年を見つめる。
(・・・どうするの?)
「・・・・・。」
その笑みからして、嘘を言っているようには見えなかった。
どうするもこうするも、自分がしたいことはただ一つ、ここで、『あの人』を待つことだ。
眉をひそめたオーリュは、息をはきだしてから顎を軽く引いて頷く。
それを見て、少年は満足そうに笑った。
(分かったよ。オーリュ。)彼はするり、とベッドをおりた。