俺は蔵野渉。
この中学校に入学して、もう3ヶ月もの時が流れた。
クラスメートにも、学校にもようやく慣れて来る頃だ。
この学校は小さくてボロい。
雨が降ればバケツや雑巾が欠かせないほど…。
ちなみにクラスメートは俺を含めて6人しかいない、少人数のクラスである。
(1、2、3年と、一クラスずつしかない。)
そうだった、今年(俺らの代)で廃校となるらしいな。
今年最後の入学者…何て言うとカッコイイ感じかな?
おっと、話してる場合じゃない。
次は数学だな。
準備準備!
机の中にあらかじめ入れて置いた教科書を取り出した。
「きゃあぁあぁ!!」
突然、左隣の席の和田一美が悲鳴をあげ、泣き出した。
…!?ドサリ。
手が緩み、教科書が滑り落ちてしまった。
「一美?どうした!?」
「かかかかか…」
「か…?」
「かまきりぃ!!」
一美の甲高い声が一層高くなり、俺の耳を貫いて脳を揺らした。