「…いって〜な、何すんだこの………」
放り投げられたレンは、目の前の光景を見て、言葉を止めてしまった。
「うそ…だろ…」
レンが見た光景、それは、地面に降り立つ、真っ白い飛竜の姿だった。そう、昨日、グランが呼び、乗って飛んで行った飛竜である。
「…何を驚いている?」
「何って、なんで…コイツがここに?」
「今俺が呼んだ」
グランが早口で言った。
「…今呼んだって…着くの早くね?」
「寝床があそこだからな」
そう言って、グランは雪山の方を指差した。昨日の事件があった雪山、の向かいの雪山だ。
「…グランの…ペットなのか?」
「…まぁ、平たく言えばそうだな」
グランは、飛竜を見つめながら言った。
「…まさか……コイツに乗って行くのか?」
「それ以外に何がある」
「……どこに行くんだ?」
「砂漠地帯なんだが……コイツは雪山育ちだからな、暑いの苦手なんだよ」
「砂漠つっても色々あるんだが?」
「イーナ砂漠だ」
「…まじで?」
「だから、イーナ砂漠の北側に位置するシルロ村に降りて、そこから歩いて行く」
「…明日は俺のお通夜だな」
「…弱音吐いてんじゃねえよ…」
グランの目つきが変わった。
「てめぇの師匠を助けるためだろ!?てめぇがしっかりしねぇでどうする!」