「だいたいお前が居た辺りに住んでるだなんて。よく決めつけられるよね、お前のご主人!」
夕食時、買ってきたドッグフードを必死で食べる子犬を見ながら、茜はひとりごちた。
かく言う茜も、子犬の旺盛な食欲にあてられてか、早めの夕食をとっていた。
「もし遠くに住んでる人に拾われたら、もう会えなくなってたわけだし…。」
その言葉に反応するかのように、短く子犬が鳴いた。
「そんな声出されてもなぁー。」
茜はもう一度、例の番号に電話をかけることにした。
やはり出たのは若い男だった。
「もう少し預かってもらえないかな…。」
「あなたの犬でしょう?心配じゃないんですか!?」
「そんな怒鳴らないでよ…。俺だって迎えに行きたいけど、今はアカネの面倒まで…」
「茜!?」
「あ、その子犬。メスで、アカネって名前。」
「…………あ……。なるほど。」
「どうしたの?」
一瞬、自分を呼ばれた気がしたが、相手のペースにハマっている場合ではない。
「とにかく!!明日の朝にダンボールのところに居ますから!日曜日だしあなたも少しくらい時間ありますよね!」
「……わかった。その時にちゃんと説明するよ。」